凍結精液の保管と取り扱い
主に人工授精関連技術に関する調査・研究を中心に、種雄牛センターが行っている精液生産事業をサポートするための技術開発を行っています。
凍結精液は生産時点で品質基準を満たしていても、その後の取り扱いが適切でないと品質の低下をまねき、受胎率低下の原因になります。
凍結精液は、キャニスターに入れて液体窒素中(−196℃)に保管すれば品質を損なうことなく半永久的に保存できるといわれています。しかし、凍結精液の生産時の品質を保持するためには、取り扱いに細心の注意を払う必要があります。−130℃以上では、凍結精液の氷晶は不安定になり、移動、成長をくり返すため、精子は損傷を受けます。凍結精液の取り扱いには、次の点に注意する必要があります。
- 凍結精液保管器内の液体窒素量は、常時1/3以上に保つ。
- 凍結精液の外気露出時間は、5秒以内とする。
■外気露出時間、回数および外気温の影響は、以下の表と図に示すとおりです。
外気露出時間(秒) | ストロー内の精液温度(℃) | |
気温24℃ | 気温30℃ | |
5 | -146.0 | -133.7 |
10 | -137.0 | -95.5 |
20 | -95.0 | -48.0 |
- ストローを取りやすくするために、キャニスター内に入れすぎないようにする。
- 凍結精液の仕分け作業は、液体窒素を入れた容器(広口の魔法瓶または発泡スチロール箱)内で行う。
- 直射日光、風、暖房機の輻射熱の当らない場所で取り扱う。
- 室内で液体窒素を取り扱う場合は、換気を十分に行う。