生物の遺伝情報が組み込まれている染色体には、常染色体と性染色体があります。哺乳類の性別は、両親由来の２本の性染色体によって決まります。図に示したように、雌の性染色体は二つともＸ染色体ですので、授精する前の卵子にはＸ染色体しかありません。一方、雄にはＸとＹの性染色体があるので、Ｘ染色体をもつＸ精子とＹ染色体をもつＹ精子の二種類の精子が造られます。交配によりＸ精子が卵子と受精すれば、その子牛の性染色体はＸＸとなり雌に、Ｙ精子が受精すればＸＹとなり雄になります。
酪農経営では雌子牛、肉用牛経営では発育性に優れた雄子牛が欲しい場合が多いと思います。ここでは、フローサイトメーターを用いた性選別精液（Sort⁹⁰）の生産と大量選別法の技術開発の取り組みについてご紹介します。