牛の性をコントロールする技術の実用化は、長い間、畜産関係者の夢でした。
 経営に有利な性の子牛を生産することは、収益に直接反映します。
 (社)家畜改良事業団では、平成16年度からLAMP法により性判別を行った体外受精卵の配布を行ってきましたが、新たに「産み分け用選別精液」を用いた体外受精卵の生産を開始しました。

「産み分け用選別精液」って何?

体外受精卵でも体内受精卵でも、受精卵はすでに雄か雌かの性が決まっています。その性を決定する役割は、精子が担っています。
牛の精液には、X精子とY精子がおよそ1:1の割合で混ざっています。
X精子が卵子に侵入して受精が完了すれば雌、Y精子であれば雄の受精卵となり、妊娠を経て子牛へと発育します。
精子を顕微鏡で見ると、見かけの上では全く同じに見えます。
しかし、X精子とY精子はDNAの量が3.8%違っていることが判っています。そのDNA量の差を利用して、90%の正確度で精子を選別することができるようになりました。
この精液を産み分け用選別精液と呼び、(社)家畜改良事業団では一般の精液と区別するために、「Sort90(ソートキュウジュウ)」という名称で呼ぶことにしました。

どうやって分けるの?

X精子とY精子の選別は、精子の中に含まれるDNAの量をフローサイトメーターという特殊な機械を使って測定することで行います。
このDNA量の測定は、精子1匹づつ行っていくので、選別精液を大量に生産することは難しい現状にあります。


精液採取

フローサイトメーター
Y精子



X精子

性判別体外受精卵とどこが違うの?

今までご利用頂いてきた性判別体外受精卵は、すでに受精が終了している受精卵の性を判定するものです。
性はすでに決定されていますので、受精卵の細胞の一部を取り、細胞の中のDNAを検査して雄か雌かを判別しています。
確率的には100%に近い確度で性の判定ができますが、受精卵の細胞の一部を採取しているために、これまで凍結保存を行わず、新鮮胚のみの対応となってきました。
これに対し、選別精子で体外受精を行った場合、性の確度は90%となりますが、受精卵から細胞の一部を採取して性判別する必要がなくなりますので凍結保存が可能となります。

Y精子







X精子

体外受精(媒精)

胚盤胞の生産

新鮮胚発送


凍結保存

受精卵の種類は?

従来からご利用頂いている「種雄牛のみ判明」と同じです。
生産した子牛は、子牛登記の対象にはなりません

種雄牛は?

平成21年7月現在、「安茂勝」と「茂勝栄」を使用しています。

今後の予定は?

今後、種雄牛のメニューは順次増やす方向を考えています。
さらには、ホルスタイン種の種雄牛でもX精子の生産を予定しています。
黒毛和種登記可能あるいはホルスタイン種登録可能な体外受精卵の生産の際にはX精子をご利用頂き、効率的に娘牛を作出するということが可能となってきました。

Sort90を用いた体外受精卵」についての注意事項

産み分け用選別精液による体外受精卵は、XまたはYいずれか望む染色体を有する精子を90%の正確度で分取した精液を用いて生産されたものです。従って雄または雌子牛の生産を100%保証するものではありません。
(社)家畜改良事業団が生産・供給する産み分け用選別精液による体外受精卵を利用され、希望の性の産子が生産されない場合であっても、(社)家畜改良事業団は産子への補償、移植料金ならびに受精卵代金等の費用の弁済はいたしません。
凍結胚のストロー表示は、以下のように「Sort90」と印刷されております。

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